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外は気持ちのいい風が吹いていて、頭上には見事な月が輝いている。
「それで、さっきの話ってなに?」
「うん……。俺、ずっと君の事好きだったんだ」
「えっ?」
彼女が驚いたように俺を見た。
「仲間を抜けるのは残念だけど、でも、また会うことは出来るだろ? だから……、君さえ良ければ、俺と付き合って欲しい!」
一気に吐き出してしまうと、今までの苦しかった想いがずいぶん楽になった。
もちろん、オーケーしてくれるかは分からないが、それでもスッキリした気分だった。
反面、彼女は困った様子だった。どう答えたものかと悩んでいるようだ。
この様子だとフラれるのは確実だと判断した俺は、
「ごめん、今の無し!」
彼女に謝り、早々に撤回宣言することにした。
「急に言われても困るよな。それに、俺みたいなやつじゃ……」
「違うの」
「えっ?」
俺は顔を上げた。
彼女は相変わらず困り顔だったが、少しだけはにかんでいるようにも見えた。
そして、彼女の口から意外な言葉が返ってきた。
「気持ちは嬉しいよ。ありがとう」
嘘みたいだった。
俺の想いが通じたんだと、嬉しさが込み上げてきた。
だが……、
「でも、ごめんね。付き合う事はできないの」
彼女はキッパリとそう言った。
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