プロローグ

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やがて一番上に到達すると、その昔はおそらく朱色に塗られていただろう鳥居をくぐる。 ところどころ朱色の面影を残した――というか色が剥げすぎてもはや木目の方が強調されている――鳥居は、それでもこの神社には必要なシンボルの様な気がする。 その鳥居をくぐった瞬間、ふと心が軽くなる気がするからだ。 夢とうつつを仕切っている大切なポイント、のような。 これまた古ぼけた社はどこか寂しげで、だけど、今はその様子に安心する。 輝いているものを見たくない。 眩しくて、今の私には辛い。 この社になんの神様が祀られているのかも知らない私は、それでも手を合わせる。 「ごめんなさい」 心の中が全部”後悔”というもので満たされている私には、謝罪の言葉しか出てこない。 どうしてもっと早く……。 どうしてあの日……。
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