プロローグ

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――ガウウゥ。 するとそのとき、低いうなり声のような音が耳に届いてハッとした。 なに? ――ウゥゥゥ。 するとさっきよりさらに低いうなり声。 怖くなってゆっくり立ち上がると、背後でなにかが動いた。 音を立てないようにそっと振り向くと、首輪をした真っ黒の大きな犬が、目をつり上げて私をにらんでいた。 どうしてこんなところに? その犬が体を少し後掲姿勢になり、私に飛びつく準備を始めたことがわかると、恐怖で体が動かなくなってしまった。 逃げなくちゃ……。 そう思えば思うほど、足が動かない。 ――ウゥー、ガウゥッ! 「キャ!」 条件反射で飛びついてきた犬に背中を向けると、丁度肘が当たったらしく犬はひるんだ。
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