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シェリルは目を覚ますと、大きく伸びをしてからベッドを抜け出して近くにあったシャツに腕を通した。
窓の方に目をやれば、カーテン越しでも分かるほどの晴天だ。
「良かった、晴れて」
嬉しそうに目を細めて独り言を溢し、寝室からまずはキッチンへと向かう。
「おはよう、アルト」
「おはよう。良く眠れたか?」
「…そうね、寝たつもりなんだけど、ちょっとだけ緊張してるのかしら」
珍しく少しだけ照れた様子のシェリルに、アルトが優しく微笑む。
「…何よ」
「お前でも緊張するんだな」
「当たり前でしょう?人を何だと思ってるのよ」
「うーん、鋼鉄の心臓の持ち主?」
アルトが笑いながら返すので、シェリルが頬を膨らませた。
「アルト!」
「アハハ、冗談だって。俺と同じく緊張してるって聞いて安心した」
「アルトも緊張してるの?」
「そりゃそうだろ。けじめっていうかスタートなわけだし」
「そうね」
シェリルも同意して頷くと、アルトがシェリルのことを抱き寄せた。
「…アルト?」
「いや、何でもない。シャワー浴びてこいよ。それまでに用意しておく」
何か言いたげだったが、すぐに身体を放してシェリルをバスルームへと送り出す。
緊張していると言っていたから、そのせいで様子が少し変なのかも知れないと思いながらシェリルはキッチンを後にした。
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