第1章

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「両方揃ってる方が見映えが良い?」  アルトに理由を尋ねたら、笑いながら首を左右に振って否定する。 「聞いたことないか?サムシング・フォー」 「サムシング・フォー?」 「そう。新しい物、古い物、借りた物、青い物を身に付けた花嫁は幸せになれる、ってやつ」 「そんなのなくたって、私は幸せになるわよ?」  シェリルらしい自信満々の答えに、アルトが吹き出した。 「そうかもしれないけど、少しはそういうの楽しめよ」 「借りた物はイヤリング、あ、青い物ってこのガーターベルト?」 「そう。で、新しい物が用意しておいた下着」  下着と言われて、シェリルの顔がカァっと赤くなる。  昨夜に、明日はこれとアルトに渡されていたのはこれだったのかと思いながらも、やはりそこら辺は恥ずかしい。 「それで古い物は?」  ここまで用意してあったのなら、最後の一つも用意してあるのだろう。 「これ」  アルトが後ろから小さな箱を取り出して、シェリルの前で開けると中には一粒パールの指輪が納められていた。 「指輪?」 「…母さんが持っていた物なんだ。お古で悪いけど。親父からシェリルに貰って欲しいってこの前渡された」 「そんな大事な物、受け取れないわよ」
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