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あぁ。
この子も。
この子も私と一緒で罪深い子。
でも仕方がない。
いつの世も。
どんな生物でも、弱肉強食。
自分にとって脅威となる存在は、早いうちにその芽を潰すに限る。
特に。
相手が跡取りだともてはやされるような相手であれば尚更――――
「あなたはもう、外の会話が聞こえているのね。きっと、したたかな子になるわね。私のように……」
意識が途切れる前。
遥か昔に見た、真っ赤な景色と、聞こえる筈のない小さな悲鳴。
そして、光の下に出た時から、母がやたらと私を甘やかしてくれたことを思い出した。
「あぁ。きっと、お母さんも……」
きっと私も、これから生まれて来る愛する赤ちゃんのことを愛してやまないわ。
だって。
血を分けた子供であり。
愛する家族であり。
同じ秘密を持った『仲間』でもあるのだから。
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