第七幕 司と海人 二人の秘密

6/9
87人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
【登校】 犯罪者の襟首を掴んだ警察官のように、司は海人のワイシャツの後ろ襟を掴んだ状態で登校した。丁度ランチタイムが終わる頃であった。 「司、心配したぜ。返信ねぇし」 明の最初の言葉はこれだった。 「わりぃ。昨日のバイトの帰りに、こいつがたまたまチョー生意気な3ピーススーツ、クレリックシャツ、赤ネクタイ姿で駅前に居たもんで、昨夜遅くにウチに連れ込んで〆てやったんだよ」 「そか。外国でお育ちの海人くんは違うな。でも海人くん、今日は真面目に白シャツだし、ちゃんと襟のボタンも締めてっけど。ネクタイもちゃんと上まで締めてるし。ってか、このシャツ、司ぁ、おめぇのワイシャツじゃねぇ?おめぇのワイシャツも、こうやって襟のボタンまで締めると、違ったカッコよさがあるな。おめぇが着て着崩すとワイルドなカッコよさ、海人が着ると、インテリ的なカッコよさがある」 「そだ。これは俺のワイシャツだ。昨日〆た時に、こいつ反抗しやがって、缶コーヒーを俺の白シャツに向かってぶっ掛けやがった。で、頭きたもんだから、俺のシャツをこいつに着せて、風呂場でシャツごとボディシャンプー使って洗濯してやったってこった」 「そか。見たかったぜ。その現場」 「で、そのまま着せて、自然乾燥させてるところだ」 「そか。海人も利用価値があるってこったな」
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!