第一幕 司

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【幼稚園時代】 俺のワイシャツフェチが始まったのは、幼稚園の頃かな。幼稚園に堂園君というカッコいい奴がいて、そいつが毎日、糊の効いた真っ白なワイシャツを着てた。俺なんて襟のないTシャツとかだったしね。今思うと、彼はいいところのお坊ちゃんだったんだろうね。 幼稚園の裏庭の小さなプールで、マヨネーズのチューブを水鉄砲にした水のかけっことかやったことがあったんだ。そのお遊びが終わって、教室に戻り服を着るだろ。俺は堂園君がワイシャツを着終わったのを見届けた後、マヨネーズのチューブに少しだけ残った水を、彼のワイシャツ目掛けて噴き飛ばした。 すると、いつもなら最強に見える彼のワイシャツの固い襟が水に濡れ、柔らかくなって弱ったように見えた。そして小さな堂園君の裸体が、ワイシャツから透けて見えたんだ。さっきまで裸の堂園君と一緒にプールで遊んでいたけど、その裸の堂園君には、なんの感情も抱かなかったのに・・・。 なんでだろう、ワイシャツから透けてみえる裸体の堂園君は、完全な裸体よりも100倍色っぽくみえたんだ。このエロい絵は何だ、って思ったね。いつもはカッコよくて、強くて敵知らずのワイシャツと、それを着た人間が、何らかの圧力に負けて弱った姿。その弱った姿にエロティシズムを感じ取ったんだ。 今だと、俺が行った水掛け行為は陵辱(りょうじょく)と呼ばれるものだ、と知ってる。それはウルトラセブンのような、負けるはずのない絶対的なヒーローが、敵からコテンパンにされること。俺はそういうプレイに異様に興奮する。まさにワイシャツ姿の堂園君は、俺の目には、テレビの中のヒーローだったのかもしれない。そのヒーローが、いや、そのヒーローが着た皺一つないワイシャツが、水に「いじめられた」「はずかしめられた」いや「負けた」んだ。それから俺はワイシャツフェチ、ワイシャツいじめフェチになったんだと思うんだ。
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