5月1日 柏木葉子

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柏木葉子は何処にでもいる平凡な16歳だ。学校の成績は学年で真ん中ぐらいで平均的だし、顔立ちだって十人並みで目立つ所はないと自分でも思う。友達は多くもなく少なくもない。特に仲の良い親友が1人、同じクラスの君塚弥子だ。彼女は葉子と違い勉強は出来るし、男子から羨望の眼差しを受けるほどに美人だ。明るく華のある容姿や性格は、女子からも受けが良い完璧なお嬢様だ。 何故、そんな彼女と平凡極まりない自分が親友なのか。口さがない人は引き立て役とかいうけど、そんなことを弥子が聞けば凄く怒ってくれる。葉子はそんな彼女が好きだ。 そんな彼女と喧嘩した。昼休憩に一緒にお弁当を食べていた時だ。珍しく元気の無い彼女を笑わせようと、家族の詰まらない話しをして怒らせてしまったのだと葉子は思った。 その日は最終の授業が終わってからも、弥子は素っ気ない態度だった。クラス委員の仕事があるから先に帰ってと言われた。何時もなら一緒に帰るのだけれど。
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