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ここまでのあとがき【1:高校編】
こんにちは、磯崎薫です。
この物語は、既に完結済みの作品、『No Fake』を三部作形式にして-rewrite-したものです。
ここまでの『#04. SHOW ME THE WAY』までが、三部で構成される本作の第一部に位置付けられる【高校編】です。
ここまでおつきあいいただき、ありがとうございます。この場をお借りしまして、心より感謝申し上げます。
再編集前に本棚登録をされていたかた。『しおり』の位置がズレてしまったと思いますが、どうかご容赦ください。
さて。
マルチタレント富田優司の才能は、高校時代に開眼されたわけですが。
この国では、特に「戦後」と呼ばれるようになった瞬間から。5教科のテストの点数のみで人の器量を測るような時代が永く続いています。
5教科のテストの点数が高くないと入れない学校がもて囃され、そこを通過しないと就くことのできない職業が人気を博す。
優司が過ごした高校時代は、ちょうどそんな気運が最高潮に達していた時代でしょう。しかし優司は、そんな時代の風潮には目もくれず。サーフィンに陸上競技にと、自由気ままな少年時代を過ごします。
まあ、器用な優司のことですから、それなりにお勉強もできたのでしょうけど。
そんな優司が高校時代に出会ったもの。それがDJとジャズバンドです。この2つは、その後の優司の人生の大きな軸になるもの。
思えば学校とは、社会の予行演習をする場所。言わば地味なキッザニアのようなものです。
そこで自分は何が得意なのか。何に適しているのか。試行錯誤を繰り返し、自分の才能や特性に合った道を模索して行く場所のはず。
決して、5教科のテストの点数の取り方だけを教わる場所ではないはずです。
それを知ってか知らずか、優司は本能的に自分の才能に合った道を見つけるのです。それも2つも。
そこにはそれに気付かせてくれた人達の存在があります。それが斎藤真樹と紺野美菜子です。彼女達の存在がなかったら、優司はきっと他の道を歩いていたでしょう。
学校生活で最も大切なこと。それは自分の才能に気付くことと、それに気付かせてくれる人物と出会うこと。
それが一見、恵まれているような人生を歩んでいるだけのような、この『No Fake』の主人公である富田優司を通して、お伝えしたい本分のひとつです。
それに気付けないと。まわりに言われるがまま必死に机にかじりついて猛勉強こそしたものの。いざ社会に出てみると「あれ?こんなはずじゃなかったのに」と、なってしまうのです。
そう。5教科のテストの点数を取る才能を持った人など、ほんの一握りのはずなのですから。才能がないのに努力しても、無駄に終わるだけです。
自分の才能には、自分で気付かないといけない。そしてその才能に気付かせてくれた人達と、その才能を開花させるために邁進する──
本来あるべき人間の姿を、富田優司に辿ってもらっているのです。
今後も富田優司はたくさんの仲間を巻き込み、自分の信じた道を突き進んで行きます。
どうぞ温かくも、嫉妬と羨望の目で。富田優司の半生を見届けていただけたらと思う所存です。
それでは。
スター特典である-extra stage 01-を挟み、次作【2:ラジオ編】は、優司が真樹の後を追うように大学に入学したところからの再開です──
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