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箱崎の本社。オフィス内に流れているFMジャンクションのオンエアーを聞いていた女性が、不敵な笑みを浮かべて立ち上がる。
彼女はビルのロビーから外へ出ると、タクシーを捕まえた。
「渋谷までお願い…… ラジオをつけてもらってもいい?…… FM。81.0」
♪
石川
「…あれ?俺、またヘンなこと言いました?」
富田
「何年度入学…何期生…なんですか?」
石川
「えっと…6期生…のはずですけど。どうして?」
斎藤
「どうも。県立名取橋西高校8期生の斎藤真樹です」
富田
「同じく、9期生の富田優司です」
石川
「え?…後輩?」
目をまるくして優司と真樹を交互に指差すヤスヲ。
無理もない。FMの生放送をしているパーソナリティの2人とゲストに呼ばれたミュージシャンである自分。
渋谷のスタジオの中にいる、なんの接点もなさそうな3人が同じ高校の出身だと言うのだ。
斎藤
「えっと…アタシが入学した年に、ヤスヲさんは3年生?」
富田
「ってことになるねぇ」
斎藤
「っつーか、キミ。後輩だったんだ」
富田
「…ってことになるねぇ」
斎藤
「ヤスヲさん、お昼休みにやってた、放送研究部の放送って、どう思ってました?」
石川
「ああ。クオリティが高くて、凄いなって思ってましたよ、いつも。特に、3年の時に聴いてた、1年生の女の子が…あれ?」
─────
斎藤
「新2、3年生の皆さん、お久しぶりです。そして新入生の皆さん、初めまして。斎藤真樹です。
この高校では放送研究部が、こうしてお昼休みに放送をするのが名物になっていますので、末永くご贔屓にお願いしますね。
さて、新学年度ですね。各部、同好会の皆さん、新入部員の勧誘もさぞかし一苦労でしょう。
そこで。明日から各部、同好会の幹部の方々をお呼びして、アピールしてもらう場を持とうと思っています。そちらもお楽しみに。
ではまず。職権を最大限に乱用させていただきまして。トップバッターは我等が放送研究部から…いいでしょ?これくらい。
えっと…放送研究部では放送技術ならびにアナウンスに興味をお持ちの方を歓迎します。企画や機材の操作なども、先輩が優しく教えちゃいますので。
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