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いつ見ても無表情で。
たまに見せる光のない瞳と、人を馬鹿にしたような態度。
いつもつまらなそうで。
いつも一人でいた。
想像とはまったく正反対の彼に。
ガタガタと音を立てて、“理想の先輩”が崩れていく。
自分勝手だと言われればそれまでだけど。
そんな先輩に嫌悪感さえも感じてしまった。
冷めた態度の先輩を見て、ありえない…なんて思ったり。
見下したような冷たい視線に、最低…なんて一人で避難したり。
それなのに、彼のことが気になってしまう。
今まで妄想しているだけで満足だったのに。
先輩のことを気にしたことなんてなかったのに。
校内で先輩の名前を聞くだけで、よくわからないけれどドキドキしていた。
そのドキドキが、どんな感情から来るドキドキなのか自分でも理解できずに。
先輩を見かけるたびに、顔を背けて気づかないフリをした。
放課後、いつも暗室に篭っていたことを知ってるくせに。
だから何? 関係ない。自問自答する。
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