♯1.ヌードモデル!?

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「あの人、嫌い」 中庭でみんなでランチタイム中。 たまたま見かけた吉良先輩の話になった。 カッコいいだの、クールだの、みんなが楽しそうに話している中。 あたしの口からは、そんな可愛くない言葉しか出てこない。 それはただたんに、自分のココロの中を隠すため。 先輩のことが気になってるだなんて、誰にも知られたくないって気持ちだけで。 簡単に口から零れる“嫌い”って一言。 だけど、言ったあとにいつも少し後悔するの。 こんなただの悪口だもの。 「葵ってホント先輩のこと毛嫌いしてるよね」 あたしがそう言うのは珍しいことでもなくて。 友だちも、また言ってる…くらいにしか思っていない。 それこそ初めのころは、何かあったの? なんて聞かれることもあったけれど。 今では、いつものことだとばかりに、あたしの言葉なんてサラリと流されて。 もう他の話題で盛り上がり始めていた。 中庭にみんなの笑い声が響き渡る。 他にも生徒の楽しそうな話し声が聞こえてた。 みんなの笑い声に合わせて、あたしも一緒に笑うけれど。 会話の内容なんて何も入ってこないため、ただの笑ったフリ。 みんなにバレないように、小さな溜息を吐いてしまうと。 隣に座る親友の美帆は、チラリとあたしを盗み見したあとに苦笑いしていた。
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