あるハーレム主

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「もう、田淵君ったらぜんぜんダメなんだからー。次が最後の問題だから、絶対に正解してよね」  その時、キンコンカンコン、と始業ベルが鳴ったのが聞こえた。  このような妄想過剰男児の話に時間を割くのは勿体ないように感じられもしたが、ここまで長々と付き合ったのだ、今更切り上げようが最後まで聞こうが変わりはないだろう。  それに、どうせ一時限目はホームルームだ。遅刻したところでどうという事はない。俺は黙って奴の次の言葉を待った。 「チャイム鳴っちゃったけど、続けるね。……あのさ、次の問題はちょっと難しいからね、まず予備知識を田淵君に教えてからにしようと思います」 「……早くしろ」 「うふふっ、じゃあいくね。……あの"健康診断"の内容が割り増ししたのは、目的があったからなんだ。その目的っていうのはもちろん、全校生徒の記憶を改ざんすることなんだけど」  それを聞いて俺は、また妄想か、と思った。  確かに、俺たち生徒はインフルエンザの予防接種を団体で行う、という名目で注射をされたりもしたし、何かの検査のためにベッドに寝かされて、天井ほどの高さのある大きな機械にコードで繋がったシートを身体中に貼られたりもした。  だが、それらが記憶の改ざんに繋がるなどというのは、いくら何でも飛躍しすぎと言えよう。  口を挟みたくなるのをこらえて続きを促した。 「うん、僕には色々と人脈もあるし、それにお金もあるからね。あの件ではとってもスムーズに事が進んで良かったよ」 「……つまり、あれはお前の差し金だったと?」 「そうだよ。だから今の高校一・二年生は、君に関することが記憶から抜け落ちてる。まあ、高校三年生は受験で"健康診断"出来なかったけど、どのみち学校に来ないでそのまま卒業だから関係ないよね」 「……ふ、それで?上手くいったのか?」 「もちろんだよ。だって最新の科学とお金を集めたんだもの。そういうことだから、みんなの中では田淵君はいま転校生だし、僕は元からの在校生ってことになってる。さっき教室で見たでしょ?完璧な出来だよ」
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