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「一人だけ気持ちヨくなってんじゃねーよ」 「ひっぁっあ、だって……そこ…イイっ…いくっ…」 「まだ早えだろ、もっと腰使え」 「ムリっ…もぅっ…あ、ああァッ…!」 保健室のベッドルームを仕切るカーテンを開けると、そこでは信じられない光景が繰り広げられていて。半裸に近い格好の男が、同じ男に組み敷かれ、今まさに絶頂を迎えくたりと果てた瞬間だった。 事の発端は、数時間前ーーー。 ゴールデンウィーク明けの最初の日曜日。月末に控えた中間テストの勉強をする為、僕は学校の図書室に来ていた。しかし、前日から少し体調を崩していたせいもあって、だんだん熱っぽくなり、保健室で休んだら今日は早々に帰ろうと決めた。 保健室に保健医の姿は見当たらず、利用者名簿に瀬尾拓海(せのおたくみ)と名前だけ記入してベッドに潜り込む。持参していた風邪薬を飲んだから時期に良くなるはずだ。だから、ほんの少し休んだら帰るつもりだったのだけど。熱のせいか、薬のせいか。僕はいつの間にか深い眠りに落ちていて、再び意識が浮上した時、誰かの掠れたような声を聞いた。 ーーー熱…下がったみたいだ。薬が効いたのかな… まだぼんやりした意識に届く、断続的に響く短い声。少し苦しげだけど、呻き声でもない。泣いているのかと思ったけれど、そうでもなくて。そして、時々その声の合間に低い声が混ざる。あまり大きな声じゃないから何を言っているかは分からなかったけど、その声には聞き覚えがあった。ただ、まさか日曜日の保健室に居るとは思わないから、名前を思い出すには至らなかったけれど。 誰が、何をしてるんだろう。 ベッドから起き上がりカーテンを開けた。その目前に飛び込んで来た光景はあまりに衝撃的で、僕の思考は瞬時に停止してしまった。
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