関係

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「恋人同士じゃなくても気持ち良くなっておっ勃ててんのは誰だよ」 「………ッ!」 「ーーーいいから退け…お前の為に言ってやってんだぞ」 「…僕の、ため……?意味…分かりませんッ…!」 何が僕のためなのか。辛いからと僕が拒めば不機嫌に苛ついて、タイミング良く先生を誘う相手が現れれば、簡単にその誘いを受ける。やっぱり先生にとって僕は、言う事を聞いて都合良くヤレる相手でしかないと言う事だ。 分かってたのに… 「早く退けって言ってんだろ」 そう言った先生の顔は、今まで見たどの表情とも違うものだった。意地悪に笑うんでもなく、からかってる訳でも無い。 先生の熱に浮かされたみたいな眼差しに惹かれてたのは確か。乱暴なクセに時々優しくて、意地悪ばかり言うくせに、心配してくれてるのかなって勘違いさせるような事を言うから……だから翻弄される。だから最後まで本気で抵抗出来ない。最初以外は無理矢理じゃなかった。快楽に流されて関係を続けたのは、先生の一存だけではなかった。 僕は被害者だってことを言い訳にしているのかもしれない。 じゃあその言い訳は、何に対して? 「帰るわ」 「先生……」 「うるせぇな」 「待って先生!」 「うるせぇっつってんだろ!」 「………ッ」 呼び止めてどうするつもりなんだ…僕。 いいじゃないか、先生が他の人のとこに行けば、僕が大変な目に合うこともない。嬉しいことなのに……… 何で胸が痛いの……? 先生は黙って出ていった。
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