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私が、この縁日に来たのは『復讐』のため。親友の由加里(ゆかり)も私がこれから、一体何をするのかを、すべて知っている。
…付き合わせて、ごめんね。
屋台できらきらとしていた林檎飴を2つ買うと、屋台のおじさんは、慣れた手付きで半透明な虹色フィルムのカバーをかぶせてワイヤーの入ったリボンで留めてくれた。
林檎飴か…昔お父さんに我儘言って買ってもらったのに、神社の階段で転んで林檎飴にも砂利をつけてしまい大泣きしたことを思い出した。お父さんは、笑いながら優しく頭を撫でてくれた。
「大丈夫、大丈夫。」
お父さんの言葉が、林檎飴を見ていると頭の中でぐるぐると聞こえる。お父さん、今度は落とさないから、大丈夫よ。
大きく息を吸って、少し震えながら息を吐く。林檎飴は持っていた巾着に突っ込んだ。由加里の手を引いて小走りで私達は、神社の裏手に広がる森へ進む。
まだ、花火と笛の音がはっきりと聞こえる。
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