「墓場まで持っていく秘密」

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「墓場まで持っていく秘密?…なんだ、それ。」 僕は、机に置かれた分厚い封筒を取ると、馴れた手つきで札束を一瞬取り出し、微笑みながら鞄に放り込むと、向かいに座る少年を見つめた。 「……いや、その……あの…」 少年は、まだ未成年のようだった。見るからに学生、それなのにこんな大金、一体どこから用意してきたのか、僕が聞く必要は…ないか。 「なんだよ、話すの?話さないの?話すの?」 肩まで伸びた髪は丁寧にストレートに整えられていて、片目を覆うほどの前髪、学生らしい真っ黒な髪、細い体で、まるで女みたいだ。 「あのさ、深く聞くつもりはないけど、一応聞かないと、こっちも"仕事"やりにくいからさ…ね?」 ずっと何かを言いたそうで言わない少年を目の前にして、何だか調子が狂う。僕としては、1日でも早く"仕事"を片付けて、そして次の依頼人のところへ向かいたいのだが…。 小さく溜め息をつくと、少年は明らかに動揺した様子で、高そうなタータン柄の上着の胸ポケットから、名刺サイズほどの小さな封筒を机に置いた。 「開けていいかな?」 少年は無言で頷いたので、すぐに開封し中にある小さな紙を取り出した。
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