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昼休みに入り、佐紀とランチを共にする。
そういえば最近、内部の社員との交流がない気がする。『MISUKA社女子会』というLINEグループはいつの間にか削除されていたし、かつての遊び仲間にメールをしても忙しいらしく中々連絡がつかない。
まあよいのだ。外部委託が主流になるほど受付嬢の文化は廃れてきた。気づけば常勤の受付嬢は私と佐紀の二人しかいない。ある意味、私たちと内部の社員の仲が疎遠になるのも仕方ないかもしれない。
多少の淋しさを抱えながら佐紀とそんな話をしながら自作の弁当を自慢しあう。
女子のノリで、いつものように好きな人はできたかと佐紀に振ってみると、なぜかもじもじと体を縮こまらせる。
「佐紀ー? まさか先輩の先を越したとは言わせないよ」
軽いジョークのつもりで、時計を見ながら飛ばした。
「……ごめんなさい」
「……?」
「私、年度末で会社辞めます……」
意外だった。佐紀はこの仕事に誇りを持ち楽しんで勤めていた。パワハラにでもあっているなら断固抗議しなければ。そんな私の心配を佐紀は台無しにした。
「寿……退社です」
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