偽りの性

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 職場の同僚も上司も私がいつまでたっても結婚しないことを訝しんでいる。  確かに私は背が高い。足も緩急のついた魅力的なあしで、どうしても消せなかった掻き壊した足の痣を艶っぽいと言う人も……言ってくれる人もいた。その人は私の過去もドライに愛してくれた人。  顔立ちも新入社員と互角に勝負できるくらいには綺麗だと自負している。性格は男にも女にも嫌われない穏やかな性格で、過ぎた女と噂された。  料理も家事も一通り覚えたお陰で家庭的だと褒められる。  しかし、私は彼氏、あるいは恋愛というものと関わりをもたずに三十路になった。  いや、もてなかったのだ。
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