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もしかしたら、最近まで何かの教室だったのが必要無くなったので、こうして空き教室になったのかもしれない。
今まで特に気に留めなかっただけで、きっとこの教室自体は当たり前に存在していたのだろう。
一瞬、小説の物語の中のようなことを期待したが、拍子抜けの結果に終わり、ドキドキ感だけが無駄に私の中で残った。
私は黒板から見て一番後ろの窓側の席の椅子を引き、隣の席に鞄を置いてから椅子に腰掛けた。
教室の中はそれなりに涼しく、暑さを感じることはない。
教室内を見渡しても特に空調設備がある訳でもなく、窓もすべて閉めきってある。
少し不思議に感じながらも、私はそれをむしろ好都合だと捉え、愛読書を開いた。
クーラーが備わっている図書室で読むのもいいが、暑い訳ではないなら誰もいないこの教室で読む方が物語に集中出来るかもしれない。
私だけの読書空間。
そう思うと自然と口元がにやけてきた。
…悪くない。
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