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この教室に足を踏み入れてから数分も経たないうちに、ここを気に入った私は気が付くと、すっかり愛読書の物語の中に入り込んでいった。 不思議な世界に迷い込んだ少年ポックは森の中でドラゴンの子供に出会う。 少し乱暴者のドラゴンの子供に初めは警戒心を抱くポックだったが、本当は優しいことが徐々に分かってくると、次第にドラゴンの子供に打ち解けていくのだった。 ドラゴンの子供のお陰で、なんとか森の迷宮から出られたポックは次に自分の世界に帰るため満月の塔を目指す。 ドラゴンは森の番人であるからして、森から出ることは禁じられている。 そのためポックとドラゴンはここでお別れしなければならなかった。 「寂しくなるね。ボク…もう少しキミと一緒に居たかったよ」 「おれもだ。…だが、掟は掟。そして、お前は自分の住処(すみか)に帰らなければならない。仕方がないことだ」 「ありがとう。最後に教えて欲しいんだ。キミの名はなんて言うんだい?」 「ウーヴァ。おれの名前はウーヴァだ」 「…ウーヴァ。そっか、さようならウーヴァ…」 「ねえ、何の本を読んでるの?」
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