104人が本棚に入れています
本棚に追加
…最悪な気分だ。
昇降口の柱にもたれながら大きなため息を吐いた。
今日、何回目のため息だろう…?
気が付けば吐いてしまっている。
最終下校時刻を知らせる放送が流れ、委員長と一緒に図書室の戸締まりを終えて、昇降口で深雪と依子の二人を待っていた。
もう、あの教室へは行かない…
本を読むには最適な場所で勿体ないが、あんなのが出現するなら、もはや最適とは言えなくなった。
「ねえ、何の本を読んでるの?」
あー!!!
思い出しただけで身体の奥から何かが込み上げてきて、今にも叫びそうになる。
私の物語の中に入ってきた不届き者めっ!!
次に会ったら鞄でぶん殴ってしまうかもしれない。
まあ、あんな教室にはもう行くことはないので、二度と会うことはないけどねっ!
「そんな挑発的な顔して、どうしたの菜摘?」
気が付けばそんな顔をしてしまっていたらしい私の前に、いつの間にか待ち人の二人がやって来ていて、手前にいた深雪が怪訝な顔で訊いてきた。
最初のコメントを投稿しよう!