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…最悪な気分だ。 昇降口の柱にもたれながら大きなため息を吐いた。 今日、何回目のため息だろう…? 気が付けば吐いてしまっている。 最終下校時刻を知らせる放送が流れ、委員長と一緒に図書室の戸締まりを終えて、昇降口で深雪と依子の二人を待っていた。 もう、あの教室へは行かない… 本を読むには最適な場所で勿体ないが、あんなのが出現するなら、もはや最適とは言えなくなった。 「ねえ、何の本を読んでるの?」 あー!!! 思い出しただけで身体の奥から何かが込み上げてきて、今にも叫びそうになる。 私の物語の中に入ってきた不届き者めっ!! 次に会ったら鞄でぶん殴ってしまうかもしれない。 まあ、あんな教室にはもう行くことはないので、二度と会うことはないけどねっ! 「そんな挑発的な顔して、どうしたの菜摘?」 気が付けばそんな顔をしてしまっていたらしい私の前に、いつの間にか待ち人の二人がやって来ていて、手前にいた深雪が怪訝な顔で訊いてきた。
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