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「うちなぁ。さっき保が笹に書いた内容見てしもうたんや」
足が止まった俺に葵は顔を正面に顔だけ後ろに向けた。
「最近な、鬱陶しがっとたん知ってたけどちょっと保。ひどいであんなん。うち……」
俺は、七夕祭りに葵と一緒に出掛けていた。
後でクラスメートの友達と合流する前に露店の一角に置いてあった短冊に願い事を書いた。
″ 葵が可愛い格好するのやめますように″
葵はピンクの花が舞うの可愛い浴衣をきていた。
俺は最初からそれを気がつかないふりをした。
「うちが可愛いからとられんか、心配?」
「ちがうわ」
「じゃ何で? 」
「そんなんわかるやろ」
「わからへん。だんまり決めて何にもいわへんつもり? 」
しつこい葵の視線を避けるように露店に並ぶ金魚すくいに目を移した。
だってな、
お前、俺の双子の兄やろ。
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