杉浦と松尾

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「歳なんて関係ないでしょう? こんなに好き合っているのに」  杉浦が不安に思うものはなくしていこうと、前に彼に言ったのだ。だから大丈夫だと思ってもらえるように彼の手を握る。 「あぁ、そうだな」  口角を上げる姿がさまになっていて、胸が高鳴る。 「この頃の杉浦課長は、人気なんですからねっ。時折見せる優しさに女子達がやられているんですから」 「そんなものどうでもいい。俺が惚れているのはお前だけだからな」 「それ、ズルい……」  照れた。  顔が熱くて両手で覆う。 「お前の方が可愛いじゃないか」  くすくすと笑い声をあげて、髪を掻きまぜられる。  杉浦とは同じくらいの身長で体格も似ている。だが、男前の度合いはかなり差をつけられている。 「課長のように良い男になりたい」 「十分に良い男だろう」  何を言っているんだと、微笑まれる。 「仕事、早く終わらせてください。俺とイチャイチャしましょうよ」  甘えるように首に腕を回して、後ろから頬を摺り寄せれば、 「わかった。俺は仕事よりお前が優先だ」  と軽く触れるだけの口づけをする。 「課長」 「なぁ、そろそろ二人きりの時は名で呼んではくれないか? 課長と呼ばれると会社にいるよな気持ちになる」 「そうですね。では、二人きりの時はお互いに名前で呼ぶってことで」 「そうしようか、雅臣」  早速、名を呼ばれて、照れくさくて顔が熱くなる。 「ヤバい、相当、グッときますね、これ」 「そうか。俺のこともグッとさせろ」  呼べと唇を撫でられる。 「征二、さん」 「……なるほど」  胸を押さえて上目使いで松尾を見る。 「予想以上にぐっとくるな、名前で呼ばれると」  こんなに愛しい人はいない。 「愛してます」  後ろから抱きしめれば、耳元に唇を寄せて「俺もだ」と囁いた。
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