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上司と部下の「恋」模様
八潮雄一郎(やしおゆういちろう)は優しくて仕事の出来る先輩だ。三木本蓮(みきもとれん)にとって憧れの存在であり、目指すべき人でもある。
見た目のせいで誤解を受ける事が多々あり、そんな自分を何度もフォローしてくれた。
いつしか八潮の役に立ちたい。その一心で仕事を頑張った。そのかいもあり、八潮の傍に三木本有とまで言わせるほどとなった頃、思いはただの憧れから別の感情を持つようになっていていた。
結婚をする(しかも二度目)と聞いた時、この想いを伝え無かったことを悔やんだ。すでに気持ちが忘れられないほどに深い所まで浸透していた。
私生活は支えてあげられないが、仕事では自分が支える。その思いだけで恋心を胸の中の箱に詰めてカギをしめる。
時折、酷く痛むことがあるが、必要とされる事で押さえることができた。
だが、それから一年もたたぬうちに八潮の結婚生活は幕切れとなる。仕事を優先とする八潮に、寂しくて耐え切れなくなった相手が離縁を申し入れたのだ。
それも理解のうちで結婚したんじゃないのかと、三木本は怒りを感じたが、八潮は自分が悪いのだといい、離婚届に判を押した。
だから、この件で三木本が怒る事ではない。言いたかった言葉を飲み込んで、自分はいつまでも彼の傍にいようと心で誓う。
離婚してからというもの不規則な生活が続いているようで、少しやせたと思う。
昼に食事を摂らない時もあり、心配していた矢先のことだ、八潮が倒れたのは。
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