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後始末を終えてフロアの灯りを消してエレベーターに乗り込む。少し腰がだるいなとさすりながら歩いていると、ロビーのソファーで待つ八潮の姿がある。
「先に帰っていいと言いませんでしたか?」
「うん。でも、一緒に帰りたかったから」
と肩の上に手を置く。
「そうですか」
嬉しいと、ここで素直にそう口にして抱きついたら、八潮は可愛いと思ってくれるのだろうか。
だが、気持ちを素直に出せずにつれない態度をとってしまう。
可愛げがない事は解っているが、自分には無理だ。
「身体は平気かい?」
「はい。優しくしてくれたんで」
「そう」
くしゃっと頭を撫でられ、胸がきゅっと締め付けられる。
それから駅に着くまで先ほどの行為について触れる事はなく、ホームが違うので途中で別れる。
「じゃぁ、また明日ね」
「はい。お疲れ様でした」
頭を軽く下げて、ホームに向かい電車を待つ。
まだ奥の方に八潮の名残を感じ、頬が熱くなってくる。
「本当に、あの人と……」
ずっとこうしたいと思っていた。彼を思いながら抜いたときもあった。
「八潮さん」
彼とまた繋ぎあえるのならば、興味本位でもかまわない。また、この体を求めてもらえたら嬉しい。
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