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まさか、揉めているのだろうか。
三木本の事が心配になり、煙草をもみ消して先に戻るねと喫煙室から外に出る。
携帯を取り出して連絡を入れれば、階段の方から着信音が聞こえてきて、覗いて見てみれば階段から降りてくる三木本の姿があり、電話にでようとしたところで向こうも八潮に気がついた。
「八潮課長、どうされましたか」
トラブルですかと、仕事モードに入る三木本に、見た限りでは特に何か起きた様子はなさそうだ。
「君が他の部署の子に呼ばれたというから、昨日の男かと思ってね」
「……もしかして、心配、してくれたんですか?」
戸惑うような仕草を見せる三木本に、
「当たり前だよ」
と両肩を掴む。
「ご心配お掛けしました。ですが大丈夫ですよ。昨日の謝罪をされただけですし。それよりも、八潮課長、ちゃんと飯、食いましたか?」
「いや、まだだけど」
「これ、食ってください」
コンビニの袋を差し出され、中にはおにぎりとお茶が入っている。
「課長に声を掛けられなかったんで、もしかしたらと思いましてね」
「あ、うん。ありがとうね」
「いえ」
どうして、いつも自分の事より八潮を優先するのだろう。
それが胸を激しく波打たせて、彼の腕を掴み抱き寄せる。
「なに、を」
言葉は最後まで語ることはなく、唇が重なり合う。
「ん、ふ」
暴れて唇を離そうとする彼を壁に押し付け、さらに深く貪る。
「か、ちょう……、んぅ」
くちゅりと水音をたて、吸い込む。
とろんとした目で八潮を見つめ、口づけを受け入れ始める。
ぎゅっとシャツを掴む三木本は可愛い。
もっと自分に甘える姿を見たいと、そう、思った。
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