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だが、あれ以来、八潮から誘われることはなかった。
忙しいというのも理由の一つだが、やはり男とするより女がいいと思ったのだろう。
あの時は気の迷いだったんだ。きっと……。
既に一度、フラれているのだ。自分は八潮の好みではない事は解っている筈だ。
自分の馬鹿さ加減に呆れつつ、それでも心の奥底では自分と気持ちいい事をすることを望んでくれているのではと期待してしまう。
後から肩を叩かれ、ドキッとする。
もしかしてと期待をこめて振り向くが、目の前にいる相手は会いたくない相手だった。
すっと目を細めて冷たい表情を浮かべて彼を見る。
「何の用です?」
「おいおい、そんな怖い顔するなよ」
八潮に見られて逃げたことを謝られて、彼のお蔭もあって良い思いができたので許してやった。
それで関係も元通りになったと勘違いしているのか。
「逃げてしまった事は謝ったし、君だって許してくれたじゃない」
もう一度やり直そう。そう言われて、断ろうとしたが死角に連れ込まれてキスをされる。
「んっ」
いくら死角とはいえ、こんなところでキスをするなんて。拒もうとも力は相手の方が強く、両手を抑え込まれ身動きが取れない。
「はぁ、やめろ」
足に力が入らなくなって、崩れ落ちそうになるところを腰に腕を回して抱きしめられる。
もう、抵抗する気も起きずにキスを受け入れてしまう。
「たってる」
と、足を差し込みたちあがった箇所を弄られて芯が震える。
「トイレで抜いてやるよ」
そういうと気分が悪くなったふりをさせるように肩を抱きしめて、大丈夫かと背中を摩り始める。
「いい。一人で、する」
「駄目だ。気分が悪い時ぐらい甘えろ」
口元をニヤつかせながら下心丸出しの顔を向けてくる。抵抗した所で思い通りにされてしまうのだろう。
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