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「……やるならベッドの上が良い」
「はじめから素直になればいいんだよ」
そう言われて、すぐさま目的地をホテルへ変更する。
会社を出ようとした所で、
「おい、三木本」
声を掛けられて、振り向くと波多と久世が近寄ってくる。
「飲みに行こうと誘おうと思って、お前の事を探してたんだ」
と腕を掴まれた。
「俺、三木本さんと一緒に飲んでみたかったんですよー」
ね、と、彼にも笑顔を見せる。
「他の部署の先輩からも、色々と聞いてみたいし。後で八潮課長も来るんですよ」
その名を聞いた途端、彼は気まずそうな表情を浮かべ、
「あ……、俺は遠慮するよ。三木本、また今度な」
そういうと帰ってしまい、正直、声を掛けられて助かった。このままではホテルで彼に抱かれていただろう。
「実はさ、物陰に連れて行かれるところを久世が見つけてさ、声を掛けた」
もしも邪魔をしてしまったのなら申し訳ないと波多が謝り、正直に助かったとこたえる。
「なら良かった。前にさ、お前、彼に呼び出し食らったろう? その話をしたときの八潮課長が慌てて喫煙室から出て行ったから、気になってて」
確かに、あの時、自分を心配して探しに来てくれた。そして、口づけをされたのだ。
「課長、まだフロアにいたから行ってみたら?」
「あぁ」
ありがとうと礼を言い、三木本は八潮の元へと急いだ。
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