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◇…◆…◇
別に興味本位でも良かった。心は貰えないのなら体だけでもつながることが出来れば、と。
そんな気持ちを見透かされた。八潮はから気持ち良くなれればそれでいいのかと、言われているような気がした。
手先が震える。
上手く操作できず、やっとの思いで連絡を入れる。
何度かのコールの後に「蓮さん」と耳元に低くそして優しい声音が自分の名を呼ぶ。
「今から会えないか?」
「大丈夫です。いつもの所で待ち合わせしましょう」
「あぁ」
男が男との出会いを求め、ホテルの近くにあるバーへとやってくる。彼とは一年前に知り合った。
名は利成(としなり)。洒落た服を着た爽やか系のイケメンだ。
もてそうな彼に、相手には不自由していないのではと聞けば、女性は好きだがヤるのは男が良いのだとこたえた。
それも三木本の様な目つきの悪い男が、自分の手でどうなるのかを見たいとかそんな事も言っていた。
互いに下の名前で呼び合い、それ以外の事は聞かないというルール。
なので知っているはその二つと連絡先、そしてどんな風に男を抱くかという事だけだ。
「蓮さん」
まだ相手の決まらぬ男達が一斉に彼を見て、待ち合わせと知るとため息を漏らす。そして羨ましそうに自分を見るのだ。
「行こう」
利成の腕を掴み出入り口のドアへと向かい外へと出る。
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