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病院に駆け付けた三木本と波多に、八潮は面目ないと頭をかく。
「疲労ですって。仕事をし過ぎですよ、八潮さん」
と波多が荷物の入った紙袋を置く。
「ごめんね」
三木本は点滴のチューブに繋がれた腕を見つめたまま黙り込む。
無理にでも休憩させて食事をさせるべきだった、と、後悔ばかりが先に立つ。
「ちょっと、三木本君、真っ青だよ」
「え?」
確かに少し頭がぼっとするが、自分の事よりも八潮の事だ。
「俺は平気ですよ」
「とにかく、ここに座れ」
と波多に丸椅子へと座らせられた。
「すみません。俺が、八潮さんをフォロしきれてないから、だから……」
「君が自分を責める必要はないよ。これは僕の自己管理が悪いからであって」
「そうだよ。これは八潮さんが悪い」
「えぇ、波多君、なんか酷いっ」
「俺、もっと八潮さんの手助けを出来ていれば」
「充分助かっているよ。これは僕が悪いんだ。離婚したショックもあったしね」
だからもう自分を責めないで、と、手を握りしめられる。
そんなことがあって、三木本は八潮へ声を掛けるようになった。
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