No.1 最低な女と嗤う

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タケルと付き合って、私は彼にとって必要な存在として求められるようになった。 声が聴きたいと求められ 会いたいと求められ 一緒にいたいと求められ 手を繋ぎたいと求められ 抱きしめたいと求められ キスしたいと求められた。 私の思い描いていた様に。 「君がいてくれないとつまらない」 「君は俺の一番だ」 「愛してる」 「好きすぎてつらい」 「もっともっと君を知りたい」 「君が欲しい」って、 そんな最高に甘い蜜をも、彼は何度も何度も私がドロドロになって 身動きが取れなくなるまで、全身にまんべんなく浴びせてくれた。 だが、身動きの取れない蜜の中。 彼に求められていくうちに私ばかり気持ちが冷めていくことに気づいたのである。 私はここに至ってやっと理解した。 なぜ告白されたときにあんなに嬉しかったのか。体が震えたのかを。
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