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「早くするのじゃ!祭が始まってしまうじゃろ?」
「そんなに焦らなくても大丈夫だって」
「わらわには時間が無いのじゃ。早う案内せい。ずっと、楽しみにしておったのじゃ……」
「俺も、そうだよ」
「嘘じゃ!さっきから目も合わせんではないか!」
「…………」
「待ちわびていたのはわらわだけか?そなたに会えるのを……きゃっ!?」
小石に躓き、よろけたところをを抱きとめられ
、目の前に彼の顔が近づく。………っっ近い…!
「……すまんのう」
頬を染めて呟く。ぎゅっと抱きしめられる力が強くなる。
「……俺だって」
「?」
「俺だって、ずっとずっと会いたかった。一年ずっと、この日を待ってた。緊張すんだよ、また綺麗になってるし……」
どくんどくんと鳴り響く、この音はわらわだけのものではないであろう……?
「好きだよ」
「わらわも、じゃ」
すこし見つめあって、そして、ゆっくり顔が近づいてーー……
今宵は二人が出会う夜。
甘く切ない、恋人たちの逢瀬。
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