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「はあ?なんでやねん
アニキ、同居せえへんて言うてたやんけ」
珈琲を飲んでいた次男が口を挟んだ。
「お前に関係ないやろ」
兄は相変わらず自分勝手だ。
「そんなん困ります
うちも同居したかったのに」
ーー……う、嘘やろ?
弟の嫁が口出しする。
「家を建てたいねん。せやから頭金作る間だけでええさかい」
「ええやんか、賑やかになるし、みんなで住んだら」
脳天気な夫は、むしろ喜んでいた。
ーーアホかー!!
あたしら年金生活者やねんで!
スネかじられてどないすんねん!
嫁たちの手前、そうとは言えず、とりあえず増築した分のローンだけは払わせている。
そう、臑齧り虫は、二匹とも戻って来た。
「おかん、最近また病んでるな」
「まあ、ぼけたら施設に入れようぜ」
ーーアホか。施設に入れる金も、よう用意せんくせに。
息子らの陰口を肴に、今夜もキンキンに冷えたワインを傾けた。
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