第1章

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 またしてもプラズマボールに指を付けていた林田だったが、教壇として使われている机の引き出しからマッチと蝋燭を取り出した。こんな遊んでいる男に安全管理を語られたくない。しかし突っ込むのも面倒なので誰も言わなかった。それに最凶の変人だ。まともを求めてはいけない。 「あれ?こういう実験でメジャーなのはシャーペンの芯じゃなかったっけ?」  ふと疑問に思った優我が訊く。たしか優我が読んだ本ではシャーペンの芯を過熱していた。 「えっ?そうなの?」  桜太はそっちの実験を知らないので目を丸くする。蝋燭の炎が火の玉になるというのは解りやすいが、シャーペンの芯でどうして出来るのか。 「どっちでも可能だよ。要は炭素が気体になって、その後にプラズマ状態が起きているだけだ」  倉庫から電子レンジを発掘してきた莉音が説明した。どういうわけか電子レンジを持っているのは莉音と芳樹だけだ。遅れて戻ってきた亜塔は薄汚れた段ボール箱を抱えている。 「やっぱりあったぞ。さすがは倉庫だ。これと一緒に電池の実験もしたかったんだが、電池は見つからなかったなあ」  亜塔は言いつつ段ボール箱の中から一本の黒い棒を取り出した。 「何ですか、それ?」  楓翔が興味津々に訊いた。明らかにあれが亜塔のやりたい実験の正体だと目星を付ける。 「ふふっ。以前に動画を見てやりたくてね。備長炭だ。こいつでアーク放電を起こして火花を観察するんだ」  亜塔が不気味な笑みを浮かべて炭を高々と上げる。 「なあ。それもプラズマの実験だぞ」  莉音は呆れつつ突っ込んだ。火花を空中で起こすわけだから、その実験の方が色々とクリアしていることになる。どうして真っ先に言わないのかという気分だ。
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