第1章

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「えっ。これもプラズマなの?」  指摘された亜塔は本気で驚いている。 「自分でアーク放電って言っていてプラズマに気づかないってどういうことだ?何がしたいんだよ」  莉音は突っ込みつつもちゃんとアース線が差せるコンセントを探して、その近くに電子レンジを置いた。そこは丁度林田がプラズマボールの線をコンセントに差していた。莉音はそれを容赦なく引っこ抜いて電子レンジを繋いだ。その行動に林田が怒ることはなく、何だか嬉しそうに莉音を見ているだけだった。これはこれで怖い。 「はあ。カエルより重たいものを持ちたくないもんだ」  ようやく電子レンジを置けた芳樹はそんなことを言う。箸より重い物を持たないは聞いたことがあるがカエルはない。何でも基準がカエルになってしまうとは芳樹の変人具合も凄いものである。 「プラズマだけでも色々と実験できそう」  千晴は感心してそう言うものの、手早く準備を済ませていく。他の実験をする気がないのは明らかだ。ガラス瓶を取った序でに亜塔が持っていた段ボール箱の蓋の一部をハサミで切り取って失敬していく。切られてしまった亜塔は悲しそうに段ボール箱を見つめていた。その表情が意味するところは不明である。 「それでは科学部諸氏。珍しく実験がプラズマにまとまったところで実験タイムスタートだ」  林田がいつの間にか白衣を着て、抜かれてしまったプラズマボールを抱えていた。どうするのかと思いきや、さっさと違う場所のコンセントに繋いでプラズマを発生させている。どうやらあれでプラズマの実験の気持ちを高めたいらしい。しかし誰ももう注目していないので意味なしだ。 「ガラス瓶をどうするの?」  千晴が実験内容を知っている桜太に瓶を差し出す。
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