第1章

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「どっちが先にやりますか?」  桜太は電子レンジの中に瓶をセットして訊く。 「お先にどうぞ。火の玉がどういうものか俺も見たい」  亜塔はさっさと林田から貰ったACアダプタを机に投げて電子レンジの傍に来る。 「それじゃあ、念のために換気をして」  桜太が指示すると 「窓が開いているから大丈夫だ」  冷房が切れているせいで沢庵による塩分補給をした楓翔が突っ込んだ。  その和気藹々としていて何のトラブルもなく実験が進んで行く様子を、廊下から覗く怪しい影があろうとは誰も思っていない。 「何だ。科学部のことだから何かやらかすかと思って待ち構えているというのに」  怪しい影は悔しそうに言う。 「あっ、火の玉になったぞ」 「おおっ。本当に火がちぎれたりくっついたりしている」  その科学部はしっかりと電子レンジの実験を成功させて感動していた。こうして実験は成功するものの学園七不思議は一向に解かないのであった。 <参考文献> 川口友万著『あぶない科学実験』彩図社 東京大学サイエンスコミュニケーションサークルCAST著『東大生がおしえてくれたアタマがよくなる科学おもちゃ&手品』宝島社
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