七夕

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 君と付き合って半年になる。  最初は言えていた言葉も君を知れば知るほど言えなくなる。  ケンカして仲直り、そんな繰り返し。そんな関係。  どこか疲れたかも知れない、お互いに。    そんな中で君が誘ってくれた夏祭り。  雨が心配だったけれど、運よく晴れてくれた。  石段を駆け上がる君を僕は追いかけた。 「ちょっと待ってくれよ。浴衣は歩きにくいんだ」  そんな言葉を無視して君は登りきる。そして振り向く。 「あっ、短冊あるよ。ほら!」 「・・・綺麗だね」 「え?」 「いや、あの夜空がさ」僕は星空を差す。 「本当だ。綺麗だね」  赤くなった頬を隠した。  そして短冊に書いた。 「素直になりたい」と。
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