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初めて樋口の笑顔を見たとき、心が捉えられて、その場から動くことが出来なかった。
たぶん、一目惚れ。
言葉にすると安っぽい、そんなものをまさか自分が経験するなんて思わなくて、ずっと否定していた。
噂の『天使の笑顔』はすごいなって、俺も他のみんなと同じなんだって、無理矢理言い聞かせていた。
なのに、心とは反対に体は素直で、気がつけば樋口が働いているペットショップに足しげく通っていた。
俺を見るとちょっと迷惑そうにする樋口を見ると、心の奥底がツキンと痛んだけれど、それ以上に樋口が普段見せない色々な表情を動物に向けるのを見るのが楽しかった。
もっと樋口の事を知りたい、もっと仲よくなりたい。
もっと、もっと……。
俺はどんどん我が儘になっていった。
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