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「樋口って本当にいい奴だな。
俺や三石さんは大丈夫だから、もっと自分を大事にしろよ」
そうだよ、三石さんはともかく、俺のことなんて庇うなよ。
このまま樋口のそばに居ても、樋口の夢の邪魔をするばかりで、何もいいことはない。
俺は、樋口から離れるべきだ。
そうだよ。
今さら素直になっても遅いけど、俺は樋口が好きだ。
大好きなんだ。
まだ、酔いが残っているのか、ぼんやりとしている樋口とゆっくり歩く。
樋口、ごめんな。
もう邪魔はしないから、夢に向かって頑張れ。
「送ってくれてありがとう」
少し照れたように笑う樋口の笑顔を焼き付ける。
「樋口、ばいばい」
俺はくるりと背中を向けると、泣き顔を見られないように足早に歩き去った。
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