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コーヒーを飲み干した彼女は、僕をじっと見つめた。
何を言われるのかドキドキしていると、意を決したように彼女が口を開いた。
「ねえ、ずばり聞くけど、樋口君は一ノ瀬君が好きなの?
もちろん、恋愛の意味で」
『ブッ』
僕はもう少しでコーヒーを吹き出す所だった。
「やだ、大丈夫?」
大丈夫じゃないから………
「三石さんがいきなり変な質問するから」
僕は、少し非難を込めて言った。
「はっきりしようよ。
男なんだし。ウジウジするの止めようよ。
で、好きなの?嫌いなの?どうでもいいの?
ちなみに、私は好きだったわ。見事に玉砕したけどね」
三石さんの声が震える。
真っ直ぐな彼女を見ていると、僕はだんだん誤魔化すのが卑怯に思えてきた。
「あの……今まで恋愛経験がないから、好きの気持ちがよく分からないんだ。
でも、一ノ瀬が女子に囲まれてるのを見るとイライラする。
同期会で山口に触られた時は気持ち悪くて鳥肌がたったのに、一ノ瀬にはそんな事全く感じないんだ。
むしろ、嬉しいっていうか……ドキドキはするんだけど。
でも、たぶん一ノ瀬には嫌われたと思う。
それが辛いんだ」
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