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(・・・さすが日曜日。人が多い。)
池袋駅前は休日とあって、賑わっていた。
わいわいと、買い物客が群がって話していたり、誰かを待っている人がたくさんいた。
その一人、高校2年生の石橋 藍は、高校の同級生に急遽呼び出されて、急いで池袋から山手路線を走る電車に乗り込んだ。
複雑に絡み合う路線。
藍も一応、東京都民だが、時々、電車を乗り間違えて大惨事になるときもある。
藍は高校の通学のために、毎日山手線を利用しているわけだが、いつなれるのであろうか。
ちょうど止まった電車に乗り込む。
やはり、休日は侮れない。
座席はすべて埋まっている。
ため息をついた藍は、仕方がなくドア近くの吊革につかまり、閉まった電車の扉の車窓から流れ始めるつまらない景色を見つめた。
藍の友達から届いたEメールによると、
原宿のカラオケボックスで騒いでる、藍も来ない?という内容だった。
財布は丁度潤っているし、そういうことも必要かもしれないと判断した藍はしぶしぶ、呼び出しに応えるが人が多いところはやっぱり嫌いだと確信したのだろう。
若干人酔いしてくらっとした藍は、静かに目を瞑った。
――― 新宿ー、新宿です。
車掌の呼びかけの声にぱちりと目を開けた藍。
短いようで長く感じた約10分間に終止符を打つように開いた重い扉から藍は出た。
指示されたカラオケボックスに向かう。
何唄おうかな。
何飲もうかな。
何食べようかな。
そんなことを思いながら藍は、信号機に足を止めた。
目の前で流れていくたくさんの車。
車を目で追いながら、早く信号が青にならないかとうずうずしているところに、やっと青に変わった信号機。
急いで向かい側にあるカラオケボックスに向かう。
指示された部屋番号に店員さんに言えば、誘導され、たどり着いた藍は、息を吐くとドアノブを掴んで扉を開けた。
藍の友人である小川 里香がマイクを独占してひたすら定番ソングを熱唱しているところだった。
それを黙って無表情で聞いていた、同じく友人である長瀬 仁がコーラを飲みながら藍の存在気づく。
「藍、居たのかよ。」
「え、里香、翔太とか仁がいるなんて聞いてない!」
里香は熱唱中で藍の質問に気づいていない。
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