一つ目

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 どこだよ、ここ?  何この風景。ここ、本当に日本か?  緑が多く、蜂蜜色のレンガの家が所々にぽつぽつと建っていて、道はアスファルトではなく完全に砂利道。先の方に長い壁が見える。  夕方なのか、一面黄金色の光に覆われて輝いている。  ド田舎なだけじゃなく、明らかに俺が居た東京からかけ離れすぎた場所だ。  ファストフード店どころかコンビニの姿さえ見当たらない。マジでヤバイ。 「あの……お客様、このバスは回送となりますので、降りていただけませんか?」  外を見て固まっている俺に、女性が言う。 「あ……すいません。あの、ここ何処なんですか?」  出来れば知っている地名で、今日中に帰れる場所であってくれたらと祈った。 「ここは黄昏町です」  祈りは届かなかった。っつーか、タソガレチョウって何県なんだよ? 「ここって東京から遠いんですか?今日中に帰れないと不味いんだけどなー」 「申し訳ございませんが、その質問にはお答えできません。さあ、もう降りてください。カンナがお待ちです。外からこの町に来た方はカンナの所へお連れする決まりになっているのです。御案内するのが私の仕事。さあ、お急ぎ下さい」    女性に急かされながらバスを降りると、先程窓から見た景色がしっかりと広がっていた。  冗談やドッキリでも何でもなく、現実にこんな場所が存在していて、自分がその場にいるのだと実感した。
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