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まず、広々とした玄関ホールに圧倒された。
天井に飾られている煌びやかなシャンデリアにふかふかの赤い絨毯、そして所々に置かれた調度品は、アンティークなんかに興味の無い俺にもわかる程センスが良く高そうだ。
ハンナは、迷うことなく玄関から入って右側にある扉へ向かい、ノックした。
慌てて後を追いかけると、中から女性の声が聞こえてきた。
ハンナはドアを開けて、僕を中へと促す。
遠慮なく中へ入ると、大きな円卓の先にある立派なデスクに、女性が座っていた。
俺はその女性を見て、悲鳴を上げそうになった。
その顔は、ドアの所で控えているハンナと同じなのだ。どう見ても同一人物と思える程に。
違いといえば、着ている服だけ。
ハンナと同じ顔で、同じ笑顔を浮かべている。
「どうした?さっさとこっちに来い。話ができんだろう」
表情を変えず、カンナと思われる女性が言う。
言っていることと表情がちぐはぐで、余計に気味がわるくなってきた。
「はっ……はい。すいません」
人の顔を見て悲鳴……なんて失礼だよな。そうだ、きっと二人は双子なんだ。だから顔も表情もそっくりだし、名前も一文字しか違わないんだ。きっとそうだ。
そう思いながら女性の座るデスクの前まで足を伸ばした。
「初めまして、春採友也君。私はこの黄昏町の町長カンナ。今から君に町のルールを説明する」
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