一人の女

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ピリリリリッ ピリリリリッ 携帯が鳴った 5回のコール音を聞いた後、彼女は漸く電話に出た 『仕事は終わりましたか?』 冷淡な声が携帯から聞こえた 「うん…」 彼女は小さくそう呟いた 『なら連絡してくださいよ…全く、貴女はいつも僕や樋口から電話しないと仕事が終わったか分からない』 「それぐらい…分かる、でしょ…?付き合い、長いから…仕事中、なのに…電話、かかってきたこと…ないし…」 『ハァ…確かにそうですけど』 「でも、良かったの…?生捕りじゃなくて…」 『えぇ。人虎の居場所はもう…ゴホッゴホッ』 「…そう。仕事も終わった…から、ちょっと、寄り道…して、帰る…」 『分かりました』 電話が切れた。彼女ーー三宅花圃は数秒間真っ黒な画面を見つめた後、静かに携帯を鞄にしまい歩き出した
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