一人の女

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「こんな所に…女性?」 不思議に思いながら歩みを進めようとした国木田だったが、直ぐにその足は止められた 太宰とのとある会話を思い出したからだった 『国木田君、マフィアで注意すべき人物は芥川だけじゃないよ。この植物を見給え』 『何だこれは…食虫植物か?それにしては大分大きすぎる気が…』 『そうだよ。ハエトリソウ…君だって知ってるだろう?最も有名な食虫植物だ。だが、このハエトリソウが食すのは蝿でも、他の虫でもない…我々人間だよ』 『何…?』 『写真じゃ分かりにくいが、この植物は人間より遥かに大きい…そりゃそうだろうね、人間が餌なのだから。普通こんな植物は育たないよ。可能性があるのは、遺伝子を組換たり何らかして育ったか…或いは…』 『…異能力』 『そう。まぁ大方異能力なんだろうけど。そして、この植物で沢山の人を殺害した異能力者は恐らくマフィアにいると思う』 『その正体は?』 『さぁね。現場に出現するのは植物だけだから。きっと何処かで操ってるんだろう。だから君も気を付けたまへ。とっても凶暴だからね』 国木田は、この言葉を敦にも教えたことも思い出した そんな国木田の目線の先にいる彼女の隣で蠢いているのは まさに、それだった
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