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「…分かった、ならば攻撃はしない」
国木田はそう言い、彼女の隣に腰を下ろした
「…何故…?」
「俺とお前がここで戦えば、ここで生きている多くの植物達が犠牲になるだろう」
「…うん…ありが、とう…」
「!別に…礼を言われるようなことではない…」
まさかお礼を言われるとは思っておらず、国木田は少々動揺しながらズレた眼鏡を直した
「…私、貴方のこと…知ってる…探偵社で…自分が見たり…その機能を理解している物、だったら…手帳に書き込み…それを、復元…できる…手帳のページを消費する、代わりに…大きさは…手帳サイズより、小さい物に…限られるけど…」
「!そんな所まで…」
「そして…眼鏡…」
「なっ!め、眼鏡を名前みたいに呼ぶな!」
「だって、名前、知らない」
「そこまで知っておきながら名前は知らないのか」
「必要、ないから…」
そう言い放った彼女の言葉は、とても冷たい物に感じられた。死にゆく者の名前など、覚える必要がない。その一言だけで、そう言われているように思えた。
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