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「もうすぐ私は死ぬ―――――」
痩せこけたおばあちゃんは布団のなかで仰向けになりながらそんなことをいっていました。
「…………うん」
由夏もそれをわかっているので、自然と涙がでてきました。
「だから最後に…………由夏に伝えたいことがあります」
おばあちゃんはそういうと、そっと由夏の耳元にこんなお話しをしました。
「…………あるところにとてもとても素敵な豪邸がありました……でもそのお家は昔殺人事件があった場所です…………おまけにその犯人は捕まっていませんでした」
息絶え絶えのおばあちゃんの声を、由夏はいっしょうけんめいききました。
「…………その怪しい豪邸に一人の欲の深い女の人が入りました…………その女の人は…………豪邸というだけで深く考えずに飛び付いてしまったのです…………」
声を詰まらせながら喋るおばあちゃん。もうすぐ死んじゃいそう。死んじゃやだよ。
「でもその豪邸には……まだ犯人が潜んでいて、その女の人は……犯人に殺されてしまいました……これでおしまい……由夏……なんでこんな話をしたかというとね……………この家には秘密があって…………」
おばあちゃんは最後になにか言おうとしましたが、声が出ずにそのまま死んじゃいました。
由夏は悲しくて悲しくて泣いてしまいました。大好きなおばあちゃんが死んじゃった。数日前まであんなに元気だったのに。こんなに悲しい気持ちになるなんて思わなかったです。
とりあえずお父さんとお母さんを呼ばないと。由夏は大きな声で呼びました。
でも二人の返事がありません。
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