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友達に好きな人を取られるなんて思ってもいなかったから。
中学生に入って二度目の夏
外の蒸し暑さで体が汗でベタついていた。
テニスの練習でさらに暑かった。
ピピーッ
コーチが気持ちよく笛を鳴らす。
「はい、休憩!」
「あつ」
服をパタパタさせてもちっとも涼しくならない。
イライラしていると、顔に氷くらいの冷たい物がピタッと触れる。
思わず変な声が出てしまった。
「はい、ちさと!水分補給な!」
暑い中涼しい顔をして水を渡してくる男。
「たくみ…ありがとー」
たくみがつけたしで
「あ、水代50万な」と冗談を言った。
しっくりくる冗談にすぎなかったからむせてしまった。
「いくらなんでも高い!」
と笑う。
そんな二人を茶髪の女子がじっと見ていたのを私はふとわかってしまった。
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