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夏のハプニング
ありふれた平凡すぎる夏美は高校二年生。顔は普通で、成績もパッとしない。秋には関西への修学旅行があるから、まあ夏休みは近場でのんびりしようか、海外なんか無理だしなんてボンヤリ考えていたのは宗教の時間だった。ここは北海道では一番歴史ある札幌のミッションスクールの女子高なのに、隣を見たら大親友の美奈枝は本格的内職中で、何処かのショップから依頼されたストラップ人形作ってるし、周りを見ても数学や英語の内職勉強しているヤツなんか誰も居ない。皆は真剣に話を聴いてるのか夢の中なのか定かではない。ランチタイムは朝一注文した焼きパン屋さんのホットドッグとアンドーナッツを食べながら、パック牛乳を飲み、夏休みの計画話に夏美だけは盛上がりに欠け、皆がハワイだのヨーロッパだのって騒いでるのに、たとえ少し遠くと言っても道内だから思わず口を閉ざした。まだ決めていないことにして、やはり、あそこしかなかった。帰りの足取りは軽快ではなかった。しかし、帰宅したら、母が名寄の伯母さんから電話きたと、夏祭りに待ってるとのことだった。何だかわからないが、さっきまでの重い足取りを忘れてしまっていて、何故か心が踊った。ついに夏休みに入り、母と夏のワンピースを買いに出掛けた。名寄行き用のであった。やっと四丁目の専門店で、北海道の真夏の青空色のを見つけた。短くて一瞬で消え去るような夏である。いくら近年温暖化になったとしても短い秋の後には厳しい冬が待っている。夏美のスレンダーな身体にはピッタリの服でワクワクし始め、十代の美しさとはまるで北国の真夏のように儚さを秘めながらも未来と言う未知の暗闇をも眩しさに変える不思議な魅力を漂わせる。
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